2006年7月22日 (土)

都市論なんて早すぎる

東京まちかど伝説 Book 東京まちかど伝説

著者:平林 靖敏
販売元:岩波書店
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平林靖敏 『東京まちかど伝説』

「街角」ではなく「まちかど」
なぜ、題名をひらがなにしたのか
深い意味はないのかもしれないが
そこに私はこの本のテーマとも
言えるべき大切なエッセンスを
感じる。

東京の街なみをとった写真集は
山のようにあるが、その中でも
近年は『変化していく東京』
を写し取っているものが多い

古きものが壊され
新しいものが作り出され
生まれ変わる東京
そんな東京を写真は映し出す
それは緩やかに変化を続ける
柔らかな、時に凶暴な、
時にエロティックな、
時に静寂な、

とらえどころのない空間
「街」ではなく「まち」

私たちはとかく「都市論」を
唱えたがる、ヨーロッパの都市が
素晴らしい。日本は景観が駄目だ
道路の幅が狭い、便利じゃない

様々な観点から繰り出される
言葉たち、そのような
言葉たちに、耳を傾けていると
ふと、気づく

それは「都市論」でもなんでもなくて
個人の都市に対する「欲求」を
表現しているものに、過ぎないのではないか?

都市を本当に「みつめる」事ができた人で
なければ、都市全体のイメージはつかめない
都市全体のイメージをつかんだ上でないと
誰もが納得するような都市論は描けない

そのためには、いま少し、都市をみつめる
必要があるだろう、何か私たちは、急速に、
都市を、何か模型のように、論じる傾向が
あるのではないか、東京スタディーズ
一貫して論じられていたような、

鳥のような視点で都市をとらえたがる
傾向がある。それで全体をイメージした
つもりになっているのではないか、

そのくせ、未来に対する都市を描き出す
時には、自分のまわりの半径何百メートル
のことしか描けないのである

近年は、家のパソコンから世界中へと繋がる
時代になった、ただ、それと、ともに
私達の創造力の及ぶ範囲は、かえって、
狭まったのかもしれない

鳥のような視点を持つようになった
私たちは、いつのまにか、
近くをみつめる視点を忘れてしまったのかもしれない

近くをみつめ、遠くをみつめ、私達の目を
カメラのレンズのように、ズームアップしたり
クローズアップしたり、そして、その観た映像を

繋ぎ合わせたり、組み合わせたり、
そんなことをしながら、少しずつ少しずつ
イメージを形作る、

そんな歩みを忘れてしまっているのかも知れない

この本に映し出されているのは
東京の断片である

ただ、その断片をじっくり「みつめる」事ができたとき
1人1人の中に、とても豊かな東京の全体像が浮かび上がるだろう

そして、さらに、街にでて散歩してみてほしい
その東京の全体像はさらに豊かなものになる

あなただけの「東京まちかど伝説」が
そこから始まるのだ

都市論を論じるのは
それからでも
おそくはあるまい

東京スタディーズ Book 東京スタディーズ

著者:吉見 俊哉,若林 幹夫
販売元:紀伊國屋書店
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